規約敷地、規約共用部分、規約違反と法律違反...

規約敷地とは?@

規約敷地というのは、規約によって
マンション建物の敷地とされた土地のことをいいます。

 

区分所有法では、
マンションの建っていない別の土地であっても、

 

庭・通路・駐車場・附属建物の敷地など
そのマンションと一体的に管理する土地は、
区分所有者が規約によって
建物の敷地であると規定することができるとされています。

規約敷地とは?A

規約敷地とは、この場合の土地のことをいうのです。

 

もともと敷地とは、
建物の建っている土地(法定敷地)のことをいいますが、
別筆の土地でも規約によって
マンションの敷地とすることが許されます。

 

この規約敷地については、
必ずしも隣接している必要はありませんので、
隔絶が大きくない場所であれば、
規約敷地とすることができます。

 

具体的には、例えば、マンションから500m離れた駐車場を
規約敷地と規定することもできます。

規約共用部分とは?

区分所有法では、
区分所有権の対象となりうる建物の部分
(専有部分と附属の建物)を、規約により
共用部分とすることができるとしています。

 

これは、すなわち、本来は専有部分であるべきものを、
規約により共用部分に組み入れてしまう
ということにほかなりません。

 

しかしながら、その部分が外部から見て、
果たして共用部分なのかどうかというのは、
第三者からは判断しにくいですから、

 

規約により共用部分にしたという登記をしなければ、
第三者には対抗できないとされています。

 

ちなみに、不動産登記法上
「共用部分たる旨の登記」をすることによって
一般に公示されます。

 

なお、次のような場所を規約によって
共用部分とするケースが多いようです。

■倉庫
■談話室
■集会室
■管理人室...など

 

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規約違反と法律違反との関係は?

規約違反は法律違反ではありません。

 

規約というのは、あくまでも区分所有法を補うための
自治規範であって、効力において
法律には劣後するものだからです。

 

よって、下位規範の違反が、
直ちに上位の法律に対する違反となるものではないのです。

 

ただし、その行為自体が規約で禁止されることによって、
共同利益背反行為となりうるケースはあります。

 

具体的には、
例えば、専有部分の用途制限※に反する場合は、
単に規約違反だけでの問題ではなく、
共同の利益に違反すると考えられます。

 

なので、こうした場合は、
区分所有法57条の準用という形で
違反行為に対処すべきと言われています。

 

実際、下級審判例で、ペット飼育禁止規約に違反して、
犬を飼うことは共同利益に反する
という判例もあります(東京地判平8.7.5)。

 

※規約で住居専用とされているマンション居室を事務所として使ったり、保育室として利用したりすることです。

規約違反行為とは?

規約に違反する行為が、直ちに区分所有法6条1項の
共同利益背反行為に該当するわけではありません。

 

というのは、区分所有法は、
規約違反の場合についての規定を置いていないからです。

 

一方、標準管理規約では、次のように規定しています。

「区分所有者がこの規約若しくは使用細則に反したとき、または区分所有者若しくは区分所有者以外の第三者が敷地及び共用部分等において不法行為を行ったときは、理事長は、理事会の決議を経てその差止め、排除若しくは原状回復のための必要な法的措置を追行することができる」

 

なので、この条文で対処することになるわけですが、
区分所有法6条1項に基づく57条の規定の適用とはなりません。

 

具体的には、例えば、
規約でバルコニーに洗濯物を干すことを禁じていて、
それに違反したとしても、
すぐに共同利益に反する行為とはならないということです。

 

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