機械式地下駐車場、湾岸部の埋立地のマンションは液状化の危険...

機械式地下駐車場は豪雨に弱い?@

2011年9月の台風15号による記録的な豪雨で、
各地に甚大な被害が発生したのを覚えているでしょうか?

 

マンションでは、機械式地下駐車場は、
特に大雨に注意が必要です。

 

というのは、通常、機械式地下駐車場のピットには、
排水ポンプが設置されているのですが、
停電したり、あまりに大量の雨水が流れ込むと
機能しなくなるからです。

機械式地下駐車場は豪雨に弱い?A

多くの機械式駐車場ではセンサーが設置されていて、
地下部分の水位が一定の位置に達すると、
警報を発する仕組みになっています。

 

ただし、この警報は、警備会社や管理会社に
自動的に通報されますが、

 

多数のセンサーから警報が同時多発して、
対応ができなかったり、道路が冠水すると
現場に行けないケースも発生するそうですからね。

 

こうした事態に対する即時的、物理的な対応策としては、
豪雨警報などが出る状況では
地下駐車場から車を退避させたり、
あるいは車を停めるパレットを
全部地上まで上げておくことがあげられます。

 

また、雨水が流れ込みやすい箇所に
防潮板や土嚢(どのう)を用意しておくことも考えられますね。

 

さらに、中長期的には、
保険でもリスクヘッジも考えられます。

 

とはいえ、管理組合が加入する賠償保険では、
大雨による被害は対象とはならないのが一般的です。

 

なので、過去に浸水被害があった地域では、
機械式駐車場地下部分に車を駐車する場合、
水害もリスク対象とした車両保険に加入するなど、
個人的な対策も必要になってきますね。

 

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湾岸部の埋立地のマンションは液状化の危険があるの?

液状化被害は、従来からしばしば報告されてきました。

 

例えば、1964年の新潟地震、
1995年の阪神淡路大震災、
2004年の新潟中越地震において、
大規模な液状化現象が見られました。

 

ただ、こうした危険性は指摘されてきたものの、
その割にはあまり重視されてこなかったように思います。

 

液状化現象は、地盤に多くの水分を含む
緩い砂地盤で起こりやすいと言われています。

 

通常は、緩いなりにも砂粒同士がくっついて
建物を支えているのですが、
地震による振動で砂と水分が分離して、
水交じりの砂や土が地面に吹き上がってくるのです。

 

このようにして建物など比重の大きい構造物が
埋もれたり、倒れたり、地中の比重の軽い
下水管やマンホールなどが浮き上がったりして、
建物や上下水道、道路などに大きな被害をもたらすのです。

 

2011年3月11日の東日本大震災では、関東地方は
広範囲にわたり震度5以上の強い揺れに見舞われたことから、

 

茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川
の1都6県の96市町村、184か所で
液状化が確認されています。

 

特に、東京から千葉間の東京湾岸と
千葉・茨城にまたがる利根川流域に被害が集中しました。

 

地形では、埋立地、海岸低地、
三角州や後背湿地で被害が目立ったようです。

埋立時期でも被害の大きさは変わるの?

前述した千葉県浦安市の被害状況は、
埋立時期によって明暗が分かれたと言われています。

 

最も液状化被害が大きかったのは、
海岸部の新しい埋立地の内陸側で、
戦後から70年代頃に
埋立や干拓が行われた地域なんですよね。

 

その次に被害が大きかったのは、
それより古い埋立地である駅周辺でした。

 

反対に、一番被害が小さかったのは、
海側の新しい埋立地だったのですよね。

 

海寄りの街区は造成が新しく、
水道管は耐震管を採用していたので、
被害はほとんど見られなかったとのことです。

 

とはいえ、単純に埋立時期の新旧のみで
被害の大きさが比例したわけではなかったようで、
埋め立てに使用された土壌の質や
地盤改良の有無など工法の違いも影響したみたいですね。

 

なお、同じ湾岸部でも、
中央区晴海や江東区豊洲、有明は
一部の公園やグラウンドで液状化の痕跡が
わずかに確認されたものの、特に被害はなかったそうです。

大切なのは地盤改良と基礎工事!

現在は、地盤の弱い所では、液状化そのものを防ぐため、
地盤改良工事で
軟弱地盤に骨材やセメント系固化剤などを注入し、
緩い地盤を締め固めたりしているそうです。

 

また、マンションの場合は、
地盤の固い支持層まで基礎杭を打ち込んで、
その上に基礎をつくって建物を支えています。

 

なので、万が一、支持層より上の地盤が液状化したとしても、
マンションの建物そのものが傾いたり損傷したり
といった影響が出ない構造になっているのです。

 

というわけで、液状化が起こりやすい地盤や土質であっても、
埋め立て造成時や基礎工事でしっかりとした
地盤改良や地盤補強対策を施してあるので、

 

そこに地盤の特性に合わせた基礎工事が行われていれば、
液状化の直接の被害は受けないですみます。

 

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なぜ地盤調査図・土質形状図を確認した方がいいの?

液状化のリスクについては、現状ですと
重要事項説明の項目に入っていないのですが、
埋立地などの場合には、今後は当然のことながら、
説明の必須項目に入ってくると思います。

 

地盤については、モデルルームに備え付けの設計図書で、
地盤調査報告書を見せてもらいましょう。

 

これは、構造設計図に添付されていますので。

 

地盤調査図には、
ボーリング調査による土質形状図がありますので、

 

これを見れば、
どの土地がどのような地盤層でできているのかや、
支持基盤までの深さはどのようになっているのかなど
を把握することができます。

 

ちなみに、地盤調査は、同じ敷地でも場所によって
地盤の固さに違いがあるので、
一般的には1つの敷地で数か所行われます。

 

また、販売担当者に地盤の状況、
軟弱地盤であれば地盤改良対策の状況、
基礎杭、基礎の構造などの詳細について、
説明を求めましょう。

 

とはいえ、販売員も技術の専門家ではないはずですから、
もしも不明な点があれば、
後で専門の担当者から回答をもらうようにしたいですね。

 

大切なのは、
自分自身で納得のいくまで説明を受けることです。

 

埋立地だから、海の近くだから、といった理由によって、
購入の検討から外してしまうのは
選択肢を狭めることにもなってしまいます。

 

気になる物件があれば、実際に足を運んで
周囲の被害状況を確認したり、
モデルルームなどで
危険度や液状化対策の有無について
担当者に確認するようにしたいですね。

 

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