耐震構造・免震構造・制震構造の特徴と注意点は?

耐震構造の特徴と注意点は?@

耐震構造というのは、柱や梁、壁など
建物を支える部分を頑丈に造ることによって
地震が起こっても
崩れたり倒れたりしないような構造のことをいいます。

 

現在の新耐震基準ですと、
震度6強〜7程度のことですね。

耐震構造の特徴と注意点は?A

つまり、阪神淡路大震災レベルの地震でも
建物の構造部分の倒壊や破損がなく、
潰れて人が下敷きになって亡くなることがないことを
目標にしているんです。

 

大地震に見舞われたときの
耐震構造の特徴や注意点については、
一般的には主に次のようなことが指摘されています。

■揺れが激しく、特に建物の上部ほど激しく揺れます。
■建物の倒壊や損壊はありませんが、損傷する恐れはあります。
■繰り返しの揺れによって、建物の破壊が増していく恐れがあります。
■震災後の修繕に、コストがかかる恐れがあります。

 

建物は高さや構造などによって、
揺れに固有周期に違いがあります。

 

この建物の持っている固有周期が、
地震による揺れ方に違いをもたらすのです。

 

一般に、大地震のときには、
中低層建物は固有周期が短く、揺れ幅が小さいものの、
カタカタと小刻みに激しく揺れる特徴があります。

 

他方で、高層建物の場合は、固有周期が長いので、
大地震に襲われると柳の枝がしなるように、
大きくゆったりと揺れる特徴があります。

 

このように地震の揺れの力を
上手く逃がす柔構造になっているわけですが、
上層階ほど長く大きな揺れに見舞われることになります。

 

なお、建物が大きく揺れることで室内の家具が倒れて、
食器などが散乱する危険がありますので、
家具を固定したり食器が飛び出しにくい棚を
設置するなどの対策が必要になります。

 

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免震構造の特徴と注意点は?

免震構造というのは、
基礎と建物との間に免震装置を設置してるものです。

 

具体的には、地震の際、この免震装置が変形して、
激しい揺れをゆっくりとした揺れに変えて
人や建物の被害を少なくするのです。

 

やや専門的な言い方をしますと、
免震装置によって建物の固有周期を2〜5秒程度の
長い周期領域に移して、地震のエネルギ−を吸収するとともに、
揺れが建物に直接そのまま
伝わらないようにした構造のことをいいます。

 

耐震構造との大きく異なるのは、
耐震構造が基礎の上に建物が直接建っているのに対して、
免震構造は基礎の上に免震装置があって、
その上に建物が載っている構造という点です。

 

免震装置には複数のタイプがあるのですが、
代表的なものは鉛プラグ入り積層ゴムで、
板状のゴムと鋼板とを交互に何枚も積み重ねたものになります。

 

また、高層建物や軟弱地盤にも効果的とされるのが、
弾性すべり支承ですが、
ほかにも様々な装置が開発されているようですよ。

 

なお、一般的に、大地震に見舞われたときの
免震構造の特徴や注意点については、
主に次のような点が指摘されています。

■想定外の巨大な地震力が加わると、積層ゴムが破断する恐れがあります。
■軟弱地盤や液状化の恐れのある地盤に向かないケースがあります。
■免震装置は、竣工後の定期点検と大地震直後は臨時点検が必要になります。
■長周期地震動に共振しやすいです。
■縦揺れに対しては、横揺れほど効果を見込めません。
■ゆっくりと揺れることから、外壁や間仕切壁、天井材など、非構造体の脱落や破損が防げます。
■建物の変形が少ないことから、構造体の損傷が少なく、地震後も継続使用できます。

 

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制震構造の特徴と注意点は?

制震構造というのは、建物内の要所要所に
揺れを吸収する制振装置を設置して、
入ってきた揺れや振動を吸収して、
建物自体の揺れや振動を小さくする構造になっています。

 

わかりやすく言うと、
地震の揺れをいったん建物が受け止めて、
制振装置で素早くその力を吸収する仕組みです。

 

先進装置のメインのものとして、次のようなものがあります。

■制震パネル
■鋼材ダンパー
■オイルダンパー...など

 

上記のうち、オイルダンパーは、
建物の柱と梁の間の壁に設置され、
揺れでシリンダーが作動して、
内部に注入された粘性度の高いオイルを圧縮、
その抵抗で地震エネルギーを吸収します。

 

初めはオフィスやホテルなどの
超高層建築物で使用されてきましたが、
最近は超高層マンションでも
導入されている事例が増えているようですね。

 

なお、一般的に、大地震に見舞われたときの
制震構造の特徴や注意点については、
主に次のような点が指摘されています。

■地震による建物の変形を抑えることができます。
■繰り返しの揺れにも強いです。
■風揺れ対策などにも効果があります。
■地面の揺れがおさまった後も、建物が揺れ続けるのを早く抑えるのに効果があります。
※長周期地震動の揺れに効果的です。

 

制震構造は、
免震ほど揺れの強さを小さくする効果はありませんが、
超高層の建物でも揺れを吸収して抑える効果を
発揮しやすい点が特徴となっています。

 

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