長周期地震動対策、行政の超高層マンションの防災対策は?

長周期地震動対策は必要なの?@

阪神淡路大震災は直下型でしたので、
短い周期のカタカタと小刻みな激しい揺れ(地震動)
が建物や構造物に大きな被害をもたらしました。

 

一方、東日本大震災は海溝型でしたから、
震源から遠く離れた東京で観測されたのは、
長い周期の大きくゆったりと長く続く横揺れとなりました。

長周期地震動対策は必要なの?A

これが長周期地震動と言われている、
周期が2秒以上の揺れです。

 

長周期地震動では、固有周期の長い超高層建築物
(高さが60mを超えるもので、およそ20階建て超のもの)や
免震建築物への影響が大きいと言われているんですよね。

 

これは、高い建物ほど
共振で大きく揺らす性質を持っているからです。

 

この地震動が、
構造物の持っている固有周期と共振してしまうと、
横への揺れ幅が格段に大きくなることが予想され、
危惧されているのです。

 

規模の大きい地震ほど
長周期地震動はより多く発生しますし、
また地表から地下深くまでの堆積層の影響により
長周期地震動はより増幅します。

 

そのため巨大地震が発生したときには、
東京や大阪、名古屋のように
堆積層の厚い平野部などで
大きな影響が出やすいと考えられているのです。

 

実際、関東平野は
柔らかい堆積物に広く覆われているわけで、

 

ゆっくりとした揺れは、
震源地から遠く離れた地域まで伝わっても
あまり揺れは弱くならないのです。

 

この前の東日本大震災では、
遠くの震源から伝わってきた揺れは
関東平野に入ると増幅され、
いつまでも平野の中に揺れが残る状態でしたよね。

 

都内高層マンションの住民の中には、
シーソーのように次第に揺れが大きくなっていって、

 

かなり長く感じられたとか、
地面の揺れがおさまってからもしばらく揺れていた、
などと話している人もいました。

 

多くの人があの長い揺れの恐怖を二度と味わいたくない
と感じているようでしたし、実際、
いわゆる地震酔いの状態になった人もいたようですしね。

 

新宿のある高層ビルでは、制震装置が揺れを吸収したものの、
それでも地震の揺れがおさまってからも10分間程度にわたって、
最長1m幅で建物がゆっくりと左右に揺れ続けていましたから、
さぞかし恐怖に見舞われたことと思われます。

 

従来の建築基準法では、
耐震強度を算出する構造計算というのは、
主として阪神淡路大震災のような通常型の周期0.5〜2秒と
短い周期の地震を想定していたのですよね。

 

そこで国も大震災前から、
超高層ビルの長周期地震動に着目して、
新たな対策や基準の取りまとめ作業を行っていて
対策案を出しているところだったのです。

 

それによりますと、新築の超高層には、
東海地震や東南海地震、宮城県沖地震の2地震による
長周期地震動を考慮した構造計算を求めるとともに、
家具等の転倒防止対策に対する
設計上の措置について説明を求めるらしいです。

 

また、既存の超高層には、大きな揺れが予想される建物は、
梁や柱に揺れを吸収する制振装置を設けて補強するなど、
追加の対策工事を促すようですよ。

 

ちなみに、この対策としては、
制震ダンパーの設置などが有効とされています。

 

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行政の超高層マンションの防災対策はどうなっているの?

最近は、行政でも、超高層マンションの指導要綱に
防災規定を盛り込む例が見られます。

 

例えば、東京都では、
「東京都総合設計許可要綱」を改正して、

 

高層マンションの新築で
中・高層階に防災倉庫を設置する場合、
倉庫分の面積を延床面積に上乗せできることにし、
防災倉庫付きマンションの普及を図っていたりするんですよね。

 

また、高層マンションが集中する中央区では、
2007年に「市街地開発事業指導要綱」を改正して、
10階建てで25戸以上のマンションを新設する場合、
一定階ごと(5階ごとを指導)に
備蓄倉庫の設置を義務付けています。

 

その備蓄倉庫には3日分程度の水や食料のほか、
簡易トイレなどを蓄えるとしています。

 

さらに、港区では、2009年に
新築高層マンションに食料などを備蓄する防災倉庫の設置
を条例によって義務付け、

 

各家庭の備蓄と合わせて、ライフラインが復旧しなくても
1週間以上の生活維持を目指しています。

 

その防災倉庫には、
医薬品や担架などの救護用具や携帯ラジオなどの
防災用具を備蓄するとしています。

 

一方、大阪市では、2009年に
「防災力強化マンション認定制度」が創設されています。

 

この認定基準には、建物の耐震性評価、
家具転倒防止策の実施、防災倉庫の設置などの規定があり、
それらをクリアした物件に、市が認定プレートを交付しています。

 

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