耐震構造、免震構造、制震構造の仕組みと効果は?

完成引き渡し前に建物が被害を受けてしまったら?@

地震などの天変地異や
売主・買主などの責任ではない事由により、
建物に被害が生じた場合の規定については、
売買契約書に、色々と書かれていると思います。

 

なので、売買契約書は、
しっかりチェックしておくようにしたいです。

完成引き渡し前に建物が被害を受けてしまったら?A

例えば、以下のようなことが明記されているはずですから、
重要なポイントくらいは押さえておきましょうね。

 

売買契約書には、例えば、
次のようなことが明記されていると思います。

第○条 本物件が引き渡し前に、天変地異、その他売主・買主いずれの責めにも帰すことができない事由により滅失あるいは毀損したときは、以下の通り、処理するものとし、この場合買主は売主に対して損害賠償の請求を行うことができません。

 

1.滅失の場合、本契約は当然解除となり、売主は買主に対し、既に受領済みの金員を無利息にして返還します。

 

2.毀損の場合は、売主は自己の責任においてこれを当初の計画通り修復して買主に引き渡すものとし、この場合、修復に要する期間だけ引き渡し期日が延期されることにつき、買主は何ら異議・請求を行うことはできません。

 

3.前号の場合、毀損の程度が甚大で修復に多額の費用を要すると売主が認めたときは売主は本契約を解除し、第1号の通り処理します。

 

つまり、建物が潰れてしまった場合は、
契約は解除となり、お金は戻ってきますが、
損害賠償は請求できないということですね。

 

また、建物が潰れていない場合は、
修復可能なときは直して引き渡されますが、
損害賠償は請求できません。

 

さらに、売主が、被害が大きすぎて
修復にお金がかかり過ぎると判断した場合は、
契約は解除されます。

 

なお、原則として、注文住宅などの
建築請負契約の場合は、注文主負担となります。

 

天変地異などによって工事に損害が発生した場合、
施工会社が善良な管理者として注意したと認められるときは、
損害は注文者が負担することになります。

 

いずれにしましても、
災害時に、着工の延期や仕様の変更、
完成引き渡し時期が未定などの事態が発生した場合は、
契約内容の記述がすべてということです。

 

スケジュールが狂えば、買い替えなどのケースでは、
売却不動産の処分時期や売却代金などにも
影響してきますから、
契約内容は十分にチェックしておきたいですね。

 

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耐震、免震、制震の違いは?

東日本大震災の後、最近特に、免震や制震を
強く打ち出したマンションが販売されていますよね。

 

この免震や制震とはどのような違いがあるのか、
また、それはどのような効果があるのか、
さらに、免震や制震マンションなら
絶対に安全と言えるのかなど、

 

マンションの地震対策として
どれが最も有効なのかについては、
マイホーム購入前に絶対に知っておきたいポイントです。

 

数年前からになるでしょうか。

 

マンションでも、通常の耐震構造のものに加えて、
建物の揺れを軽減する免震構造や制御構造を
採用する物件が増えてきています。

 

この仕組みをわかりやすく言うと、
耐震が文字通り「地震に耐える」構造であるのに対して、
免震は「地震を免れる」構造であり、
制震は「地震を制御する」構造であるといえます。

 

また、免震や制震は、
大きな地震の際には揺れを吸収して
人や建物の被害を小さく抑える効果があります。

 

ちなみに、東日本大震災の地震においても、
免震や制震ビルは、揺れの加速度や揺れ幅を
数割程度抑える効果を発揮したとされています。

 

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耐震構造、免震構造、制震構造、それぞれの仕組みと効果は?

耐震構造、免震構造、制震構造の
それぞれを比較してまとめると次のような違いがあります。

<耐震構造>
■仕組み
・柱や梁、耐力壁、筋交いなど建物の強度を高めることで、地震が起きても建物が崩れたり倒れたりしないようにした構造のことをいいます。

 

■効果
・現行の新耐震基準では、震度6強〜7程度、すなわち、「阪神淡路大震災レベルの地震でも建物の構造部分の倒壊・損壊がなく、潰れて人が下敷きになって死ぬことがない」ということを目標にしています。

 

■留意点
・震災後の修繕にコストがかかる恐れがあります。
・繰り返しの揺れでは建物の破壊が増していく恐れがあります。
・建物の倒壊、損壊はありませんが、損傷する恐れがあります。
・揺れが激しく、特に建物の上部ほど激しく揺れます。

 

<免震構造>
■仕組み
・建物と地盤との間に強度の高い鋼材やゴムなどを積層した免責装置を設置し、地震時に変形して地震の揺れを吸収するとともに、建物に揺れが直接伝わらないようにした構造のことをいいます。

 

■効果
・構造部材が比較的小さくできます。
・内外装や家具、設備等の損傷・転倒・破損を防げます。
・ゆっくりと揺れるので、外壁や間仕切り壁、天井材など、非構造材の脱落や破損防止が図れます。
・建物の変形が少ないので、構造体の損傷が少なく、地震後も継続使用できます。
・特に横揺れに効果があり、耐震構造の半分以下に地震の力を半減できます。

 

■留意点
・建物外壁と敷地の間に余裕が必要です。
・軟弱地盤や液状化の恐れのある地盤には向かないケースがあります。
・想定外の地震力が加わると、積層ゴムが損傷する恐れがあり、交換が必要になります。
・免震装置は竣工後の定期点検や、大地震直後の臨時点検が必要です。
・建設コストが割高になります。
・長周期地震動に共振しやすいと言われています。
・縦揺れに対して横揺れほど効果を見込めません。
・鉄筋コンクリート造に向いています。

 

<制震構造>
■仕組み
・柱や梁の間に地震や風などの揺れを吸収・減衰する鋼材ダンパーや制震パネルなどの装置を入れて、揺れを抑制する構造のことをいいます。

 

■効果
・地面の揺れがおさまった後も、建物が揺れ続けるのを早く抑えます(長周期地震動の揺れに効果があります)。
・風揺れ対策などにも効果があります。
・繰り返しの揺れにも強いです。
・建物に入った地震の揺れのエネルギーを吸収する働きがあるので、建物の変形や損傷を抑えられます。

 

■留意点
・メンテナンスフリーです。
・費用は比較的、安価です。
・制振装置を設置する位置や数により効果に差が出ます。
・自重が軽く、構造が柔らかい建物に効果があります。
・タワー型など縦長の建物に効果があります。

 

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