天井高/アウトフレーム逆梁構法と耐震性との関係...

天井高は簡単に変えられるの?@

マンションの基本設計を行うには、
構造設計者に大梁の仮定断面寸法を出してもらわないと
各階の階高がわからないので、話が進みません。

 

また、設計段階でいったん階高を決めてしまうと、
その後変更することはかなり難しくなります。

天井高は簡単に変えられるの?A

これに対して、天井高というのは、
室内の天井と床の仕上げによって、
簡単に変えることが可能です。

 

例えば、階高が3mの場合でしたら、
室内を二重床・二重天井にすると、

 

3mの階高から二重床の仕上げ(15p)のほか、
コンクリートの床スラブ(例えば20p)、
二重天井の仕上げ(例えば15p)を差し引いて、
2m50p(3m−15p−20p−15p)が天井高
ということになるわけです。

 

とはいえ、二重床を「直床」、二重天井を「直天井」にすると、
その分だけ天井高は高くなってしまいますよね。

 

もちろん、初めから直床や直天井にすれば、
見た目の天井高は同じままで
階高を削ることも可能になるわけです。

 

しかしながら、こうした手法は、
3流と言われているデベロッパーが
よく使うコストダウンの方法なので注意したいところです。

 

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アウトフレーム逆梁構法と耐震性との関係は?@

アウトフレーム逆梁構法は、
10年ほど前からマンションの構造で流行っているものですね。

 

不動産広告などでは、
リビングの開放感を謳う根拠になっていたりするのですが、
ほとんど意味のないものであるとも言われているのですよね。

 

さて、アウトフレーム逆梁工法というのは、
「アウトフレーム構法」「逆梁工法」を組み合わせたもので、
柱と大梁、それにコンクリートの床版(床スラブ)
の位置関係を工夫したもののことをいいます。

 

柱は住戸の四隅にあり、
大梁は柱をつなぐように掛け渡します。

 

柱と大梁は、建物を支えるためにかなり太く、
住戸内に出っ張った部分を「柱型」とか「梁型」と言います。

 

また、通常、床スラブは大梁の上に載るような形になっていて、
これを順梁と言います。

 

まず、アウトフレーム構法は、
柱型や梁型が室内に出ないように、
柱と大梁の位置を住戸の外へ移動するものなので、

 

室内のコーナー部がすっきりとして、
家具などが置きやすくなります。

 

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アウトフレーム逆梁構法と耐震性との関係は?A

次に、逆梁構法とは、
大梁と床スラブの位置関係を逆にするものです。

 

通常は、大梁の上に床スラブが載っているのですが、
逆梁構法では、床スラブの上に大梁を載せるようにします。

 

これは、こうすることで、
窓を天井一杯まで高くすることができるからですね。

 

アウトフレーム逆梁工法は、この2つを組み合わせて、
主としてリビング・ダイニングにある柱と大梁を
バルコニーの一番外側まで移動し(アウトフレーム)、
バルコニーの床スラブ先端の上に大梁を載せるのです(逆梁)。

 

こうすることによって、リ
ビング・ダイニングの窓を天井一般までのハイサッシにして、
不動産広告などでは、採光や通風、開放感に
優れた空間ができることをアピールしていたりするのですよね。

 

しかしながら、欠点もあるので注意も必要になります。

 

例えば、バルコニーに大きな柱があるので、
リビング・ダイニングに日影ができやすくなります。

 

また、バルコニーの手すりのところに大梁があるので、
小さな子供が登って転倒する危険もあります。

 

なお、アウトフレーム逆梁構法によって、
間取りプランそのものが良くなるわけではありません。

 

むしろ、リビング・ダイニングの開放感ばかりに
目を奪われてしまい、
階高の低さや天井の仕上げ(直天井)といった問題を
見逃してしまうおそれもありますので注意してくださいね。

 

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