中古住宅事情/住宅市場は持続不可能な状況なの?

中古住宅事情はどうなっているの?@

現在の日本の中古市場はどうなっていると思いますか?

 

実際のところ、日本の中古住宅市場というのは、
ほとんど未整備の状態だったんですよね。

 

現実的に見ても、中古住宅の査定の場面では、
建物について一律的な、
築年数による格付けがなされていますしね。

中古住宅事情はどうなっているの?A

実は、業界の査定マニュアルによると、
築30年の住宅であっても、
一定の査定価格が出るようになっているそうなのですよね。

 

でも、現場では、マニュアルに沿った査定は
行われていないのが実情なんだそうです。

 

それより、築年数による減価と
「周りがいくらで売れている、売りに出しているから」といった、
相対的な見地からの価格付けになってしまっているのですね。

 

こうした背景もあって、
中古住宅はよくわからないという不安を消費者が持ち、
販売センターやモデルルームで、

 

きれいに飾られた新築住宅へ流れる
といったことが続いてきたわけなんです。

 

さて、高度成長期には、
住宅価格の下落を補って余りある地価の上昇があったわけですが、
今後はそうはいかないでしょうね。

 

少子高齢化の問題はさらに加速していくでしょうしね。

 

地価が上昇することが
コンセンサスであった頃であればいざ知らず、
むしろ土地の力が徐々に失われつつありますからね。

 

少なくとも経済合理的には、
住宅購入の意義は薄れつつありますからね。

 

日本経済はデフレをなかなか抜け出せずにいて、
給与所得は減少する一方ですし。

 

しかも、グローバリズムが否応なく進展する中で、
所得や地価は新興国のそれにさや寄せされ、
大きな下落圧力は続いていくはずですから。

 

購入したそばから価値が落ちる住宅を買うほど、
国民には経済的余力もないでしょうしね。

 

ですから、住宅市場全体を見渡せば現在の状況は、
持続不可能と言えるのではないですかね。

 

よく中古住宅市場は、
経済学でいうところの典型的な「レモン市場」である
と言われたりするんですよね。

 

ちなみに、レモン市場とは、
わかりやすく言うと、表面はきれいでも、
腐ったレモンとそうでないものの区別がつかないことから、
市場全体が評価されない状態のことを指しているわけです。

 

スポンサーリンク

住宅市場は持続不可能な状況なの?

それでも、実際には、まだまだ住宅市場は持続可能だと
考えている人も少なくないのですよね。

 

でも、具体的な数字を見て欲しいのですよね。

 

世帯数およそ5,000万に対して、
住宅数はすでに5,760万戸と、
大幅に余剰しているのですから。

 

日本全体を賃貸住宅経営に例えると、その空室率は
何と13%を優に超えるのですから驚きですよね。

 

日本は今後、本格的な
人口減少、少子・高齢化社会を迎えるわけです。

 

このような現状で、
もしこれまでと同様の住宅政策を続けてしまったら、

 

日本中が空き家だらけで、スラムがあちこちに発生し、
他方でニーズにそぐわない
ミスマッチ物件で溢れる事態となってしまいかねませんよね。

 

野村総合研究所が公表したシミュレーションを見たのですが、
これも結構衝撃的でしたよ。

 

何と2003年ペースで新築住宅の着工を続けた場合には、
滅失数を差し引いたとしても、30年後の2040年には
空家率が43%にもなってしまうそうなんです。

 

都市の空き空室率が30%を超えると、防犯をはじめとする
居住環境の著しい低下が起きることが知られていますよね。

 

でも、それだけでなく、上下水道などのインフラ整備や
ゴミ収集などの行政サービスの効率も悪化してしまうんです。

 

これは、自治体の財政事情を圧迫することになりかねませんから、
非常に不安になってきますよね。

 

スポンサーリンク

住宅市場の構造問題とは?

前述したように、
日本の住宅市場には根本的な問題があるのですが、
こうした構造問題は
今後どのようにしていったらよいのでしょうかね?

 

日本の不動産仲介業というのは、
かつてないほど責任負担や業務負担が重くなってきていて、
不動産仲介業をめぐる仕組み自体を
根本的に整備する必要があると言われているんです。

 

例えば、現在の不動産仲介業というのは、
かなり非効率なのですよね。

 

とある物件が売りに出されると、現地調査はもちろん、
市区町村役場や上下水道局、法務局に至るまで、
不動産売買契約書や重要事項説明書
に記載する項目の調査に1〜2日を要しますからね。

 

同マンション内で上下階が売りに出された場合には、
それぞれの不動産業者が同じような調査を
わざわざ行うのですから、
これは非効率極まりないのは一目瞭然ですよね。

 

もちろん調査内容に不備や誤りがあった場合には、
それによりもたらされた消費者への損害は
不動産仲介業者の負担であり、
住宅ローンや契約後の残金決済に至るまでの業務も然りです。

 

一方、例えば米国ですと、不動産エージェントは
営業やコンサルティングに徹することができる状況が
つくられているのですよね。

 

例えば、契約書関係や弁護士、
重要事項説明は不動産鑑定士、建物はホームインスペクター、
住宅ローンはモーゲージブローカー、
権利の保全などはエスクロー会社やタイトルインシュアランス会社
というように、責任負担が切り分けられているのです。

 

不動産エージェントは、
それらの手配や差配をするのみでいいわけですから、
これなら日本のように
無駄な仕事にエネルギーを注がずに済みますよね。

 

こうすることによって、不動産エージェントの負担を減らして、
相談やコンサルティングに徹する状況が形成され、
女性や高齢者の参入も容易になっているわけです。

 

こうした米国の良いところは、
我が国にも見習ってほしいものですが、
今後どうなっていくのでしょうかね。

 

長きにわたり放置してきた日本の政策の不備も、
他の先進国並みのそれに変革させた方が
絶対に良いはずなんですけれどね。

 

スポンサーリンク