マイホーム取得は投資なの?@
マイホームが投資と聞いてもピンとこないかもしれませんね。
最近はサラリーマン大家さんなどの書籍が売れているので、
不動産投資と言えば興味のある方も少なくないかもしれませんが…。
実際、よく
「日本人は貯蓄ばかりして、全然投資をしない国だ」
と言われたりしてますからね。
マイホーム取得は投資なの?A
ところが現実的にその実情を見てみると、
これは全く違うんですよね。
というのは、もちろん年代によってばらつきはありますが、
全資産の6〜7割を住宅資産が占めているのが実情だからです。
つまり、日本人は、自らの一生をかけて住宅
という資産に投資をしてきたということなんですよね。
例えば、都心から1時間圏内に住んでいる
60代のご夫婦のことを例にして説明してみますね。
このご夫婦は30年前には4人家族で、
4LDKの新築マンションを購入して住んでいたのですが、
子供が独立したこともあって、
現在は夫婦2人で広い4LDKに住んでいます。
こうして、かつてあった2階の子供部屋は物置となっているわけです。
ただ、ここで考えてみてください。
本来であれば、このご夫婦には、
次のような色々な選択肢があったはずなんですよね。
■建て替え
■都心マンションに住み替え
■駅前マンションに住み替え
■近隣の小ぶりな住宅に住み替え...など
ところが、多くのケースをみますと、
これらの選択肢を実現するのは難しいのが実情なのですよね。
これはどうしてだと思いますか?
その理由は、どの選択肢を実行するにしても、
自宅の建物価値がゼロで
土地値のみになってしまっているからなんですね。
なので、
住み替えができないということになってしまっているのです。
実際、住み替えには、
1,000万円単位のお金が必要になってきますからね。
つまり、多くのケースで、仕方なくというような、
消極的なリフォームをしてそのまま住み続けるという選択肢を
選ぶこととなってしまっているのですよね。
住宅というのは、新築を購入した時が一番高く、
中古住宅になった途端に、
その価値は15〜20%も低下してしまうと言われていますので、
こうした価値観がそうさせてしまっているんですね。
約15年で半値になり、25〜30年程度で
その価値がほぼゼロになってしまうのですから、
何だかやりきれない思いもするわけですが…。
こうした実情を見ますと、
住宅はあたかも耐久消費財のような扱いをされていますが、
現実的には、いくら投資をしても
それが価値に反映されることはないのですよね。
政府が行ってきた住宅政策は、
長らく景気対策の道具として弄ばれてきたわけです。
実際、景気後退局面では、必ずと言っていいほど
「生産誘発効果が大きい」とか
「住宅政策は経済波及効果が高い」として、
新築住宅の建設、販売に焦点が当てられ、
金融緩和や税制優遇などを繰り返してきましたからね。
住宅診断(ホームインスペクション)とは?
住宅診断(ホームインスペクション)というのは、
文字通り、住宅の劣化状況や欠陥の有無、
改修すべき個所やその時期、おおよその費用などを見極めて、
アドバイスを行う専門業務のことを言うんですよね。
最近は、テレビコマーシャルや雑誌などにも
頻繁に登場する言葉ですので、
どこかで聞いたことくらいはあるかもしれませんね。
ちなみに、
住宅診断士(ホームインスペクター)といった場合には、
住宅のかかりつけのお医者さんといったところでしょうか。
アメリカでは州によっても違いますが、
住宅取引全体の70〜90%の割合で、
この住宅診断(ホームインスペクション)が行われているそうです。
ちょっと現在の日本では
考えられないくらいの高い割合ですよね。
皆が当たり前に
住宅診断を受けているというのはがよくわかりますね。
ただこれはよく考えれば当たり前のこととも思えるわけです。
というのは、本来、住宅を購入した後に
莫大な補修費やメンテナンス費用がかかる場合は、
それが価格に織り込まれている必要があるはずなんですから。
また、メンテナンスにお金がかからない住宅とそうでない住宅も、
価格差がつくのは当たり前ですしね。
さらに、将来の社会的ニーズを考慮する
間取り変更ができる住宅とそうでないものがあれば、
それも価格に反映されるはずですから。
しかしながら、日本の中古住宅市場においては
そのような価格にはなっていませんので、
その点は非常に残念ですね。