マンションの一体化の原則、移転登記、表題部...

マンションの一体化の原則とは?@

日本の民法では、
土地と建物は別個の不動産とされています。

 

なので、土地と建物は別々に所有権が成立しますし、
それを統括する法務局における登記簿(登記事項証明書)
においても、土地登記簿と建物登記簿に分かれています。

マンションの一体化の原則とは?A

これは、同一人物が土地や建物を所有していた場合には、
土地や建物を別々に処分することができるということがいえます。

 

具体的に言うと、例えば、
建物のみに抵当権を設定して銀行から融資を受けたり、
土地の半分を他人に売却したりすることができるということです。

 

しかしながら、マンションの場合は、
一つの土地の上に多くの建物(専有部分)
が存在することになりますので、この原則は適用されません。

 

区分所有法では、土地(敷地)と専有部分(建物)を
別々に処分できるという民法の原則を排し、
敷地※と専有部分(建物)とを一体化して、
原則として両者を別々に処分することを禁止しています
(同22条1項本文)。

 

つまり、専有部分(建物)を譲渡すれば、
当然に敷地利用権(土地の共有持分)も
一緒に移転するものとしています。

 

このように、マンションとは、土地と建物とが
一体化された不動産であると解釈されているのです。

 

※土地に対する共有持分、区分所有法では「敷地利用権」と呼ばれます。

移転登記とは?

移転登記というのは、
ある権利を持っている人から他の人へ、
その権利が移転したことによりなされる登記のことをいいます。

 

ちなみに、土地や中古住宅を購入するときには、
売主から買主に所有権の移転登記を行います。

 

また、移転登記は、附従性を持った地役権の除いて、
登記できるすべての権利についてなされます。

 

なお、所有権の移転登記は主登記でなされ、
所有権以外の権利の移転登記は附記登記でなされます。

 

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表題部とは?

表題部というのは、そのマンションの所在地番、
建物の構造および床面積などの物理的事項を記載した
表紙の題目になる部分のことをいいます。

 

具体的には、全体の一棟の表題部、例えば、
所在・東京都渋谷区代々木2丁目23番地、
建物の番号・○○マンション、
構造・鉄筋コンクリート造陸屋根4階建1階447.45u、
2階712.99u、3階712.99u、4階712.99uと全部を記載し、

 

さらにマンションの建っている敷地の地番、
地目(宅地)、地積(▲▲uなど)
が一棟の建物の表示の内容になります。

 

次に各専有部分の建物表示が記載されます。

 

具体的には、例えば、201号室の表題部であるとしますと、
家屋番号(渋谷区代々木2丁目23番の201)、
構造(鉄筋コンクリート造2階建)、
床面積(2階部分 専有面積76.45uなど)が記載されます。

 

また、共有敷地(所有権や地上権等)の
利用権の割合(10万分の5223など)が各専有部分の
建物の表示であり、

 

これらの建物の建てられた当初の物理的状況を記載したものを
表題部登記と呼びます。

 

その後に権利関係の登記事項である甲区(Aさん所有)、
乙区(B銀行の抵当権)というように編成されています。

一棟の建物の表題部とは?

一不動産一登記用紙の原則とは、
不動産登記簿(記載事項証明書)は、
一筆の土地または一個の建物につき
一組の登記用紙が備えられるのが原則であるというものです。

 

ただし、もしこの原則を
マンションなどの共同住宅にも適用してしまいますと、
各区分建物(専有部分)が一棟の建物の一部として
存在していることが不明瞭となってしまいます。

 

なので、マンションなどの場合にはこの原則にはよらずに、
一棟の建物と各区分建物との関係が明確になるように、

 

区分建物の登記簿は、
一棟の建物の全体およびそれに属する各区分建物全部について、
一組の登記用紙が備えられるようにしてあります。

 

つまり、区分建物の登記簿は、
まず一棟の建物全体の表題部を設けて、次に区分建物ごとに
以下のものがそれぞれ家屋番号の順番で編綴されています。

■表題部
■甲区(所有権に関する事項の記載)
■乙区(抵当権等所有権に関する事項の記載)
■乙区(抵当権等所有権以外の事項に関する事項)

 

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